パタゴニア(Patagonia)と言えばオシャレなアウトドアウェアで有名なアパレルブランドですよね。パタゴニアのアイテムを持ってなかったとしても、登山やキャンプをする人ならアウトドア用品店などでよく目にするはず。
そんなパタゴニアが実は「パタゴニア プロビジョンズ(Patagonia Provisions)」というラインで日本でも2016年から食品を販売しているということを今更ながら知りました。「なんでアパレルブランドのパタゴニアが食品売ってるの?」と気になったので色々と調べてみました。
ということでこの記事では、
- 一言で表す「パタゴニア プロビジョンズ」とは
- パタゴニアが食品ビジネスを始めた背景と目的
- パタゴニア プロビジョンズの内容
- パタゴニア プロビジョンズの商品ラインナップ
について、調べたことをまとめていきたいと思います。
目次
一言で表す「パタゴニア プロビジョンズ」とは
そもそも「パタゴニア プロビジョンズって何だよ」という問いに対する答えですが、”パタゴニア プロビジョンズは食物連鎖を修復するための解決策を探る試み”と定義されています。
ただ、これだけ見ても何のことかよくわからないので、パタゴニアがなぜ食品業界に対して問題意識を持ち、何を目的にこの取組みを始めたのかを見ていきましょう。
パタゴニアが食品ビジネスを始めた背景と目的
パタゴニア曰く、昨今の食品業界は効率を求めるあまり、生態系や環境を破壊しながら動物や作物を育てて生産しているということです。つまり、絶命危惧を無視して魚を取ったり、自然に生えている草を根こそぎ絶やしながら家畜を育てたり、土壌を破壊しながら作物を育てたりすることが当たり前になっていると。
そこでパタゴニアが、食品生産において持続可能な方法を探し、それを行う生産者と協力しながら環境問題に対処する食品を提供することが「パタゴニア プロビジョンズ」の目的です。
パタゴニアは過去に自社が製造していたコットンTシャツでも、環境に配慮した決断をしたことがあります。コットンTシャツに人体に害を与える化学薬品が多く含まれていることに問題意識を持ち、全てのコットン製品を100%オーガニックコットンに切り替えたという話です。
つまり「パタゴニア プロビジョンズ」を通して、上記のような取り組みを食品業界で行おうとしているということですね。
パタゴニア プロビジョンズの内容
ここまででパタゴニアがなぜ食品分野に参入し、何を成し遂げようとしているのかはつかめたと思います。では次は、具体的にどのような方法で環境問題に対処する食品を生産・提供していくのか?を調べていきたいと思います。
ビジネスを手段にする
食品分野を変えるためにパタゴニアが取り組んでいるのは、ビジネスを通して変革を起こすということです。
パタゴニアの公式サイト上では、以下のように表現されています。
パタゴニア プロビジョンズの目標は、私たちが行うすべてのことと同じく、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」こと。そして最も重要なことは、「ビジネスを手段として環境危機に警 鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことなのです。
ただ単に環境保護団体などにお金を出すのではなく、自分たちで学び、自分たちで食品生産のバリューチェーンを作ることで、持続可能な食物連鎖を構築しようとしているということですね。
昔ながらの方法を利用する
持続可能な形で食物を生産するために、昔ながらの方法が最前の策であるケースは多いそうです。例えば、魚を取る時には漁獲可能量が少ない種類の魚を取り過ぎてしまわないように、「リーフネット漁」という昔ながらの手法で漁業を行っているそうです。
この方法を使えば、水面に近づいた魚を丁寧に捕まえることができるので、狙った種類以外の魚を釣り上げてしまった時に、すぐにまた水の中に戻してあげることができるとのこと。
「リーフネット漁」について、詳しくは動画でも紹介されています。
新しい手段を見つける
今までのやり方ではうまくいかない場合は、新しいやり方を探し、開発しているそうです。
例えば麦などの穀物は「一年草」と呼ばれており、畑を耕し種をまいて栽培し、収穫したら枯れてしまう。そしてまた同じ土地を耕して種をまいて・・・と同じことを繰り返すので、土壌がすぐ枯れてしまうのです。
そこで小麦と多年生植物(リンゴやナッツなどの植物)を組み合わせた品種を開発することによって、上記の問題を解決しようとしています。
この小麦は「カーンザ」と呼ばれ、ロング・ルート・エールというパタゴニアオリジナルのクラフトビールの原材料にもなっています。
※関連記事:パタゴニアのビール「ロング・ルート・エール」は味も理念も奥深い
パタゴニア プロビジョンズの商品ラインナップ
パタゴニア プロビジョンズでは
- サーモン
- オーガニックバー
- スープ
- ビール
- その他(書籍、食器、エプロンなど)
などの商品が販売されており、直営店・オンラインストア・通販ストアで購入することが可能。
単品での販売はもちろん、オンラインではスターターセットやギフトセットなどがあるので、興味を持った人がトライしてみやすい商品ラインナップになっていると思います。
既にお察しの方も多いと思いますが、値段は普通にスーパーなどで売っているものと比較すると全体的に高いです。生産過程にこだわっていることと、ブランドの商品であることを考えるとしょうがないとは思いますが。
味だけの話ではなく理念に共感してないと、燻製サーモン1パックに1,500円、スープ1パックに700円以上出すのは厳しいですね。ちなみにここまで書いておいて言うのもあれなんですが、ぼく個人的には試しに買うならOKでも継続的に買おうとは思えません。すみません。
さいごに
出典:パタゴニア プロビジョンズ
まとめると、パタゴニア プロビジョンズはビジネスという持続可能な方法で食物連鎖を修復する挑戦、またその信念に則って生産された食品ブランドであると言えます。
パタゴニアが言うように、家畜や穀物の大量生産が環境に大きなダメージを与えているとしたら、食物連鎖を修復するという取組みはとても素晴らしいものだと思います。
ただ、個人的には恥ずかしながら、環境問題への問題意識はあまり持っていません。これだけ調べた後でも、1パック1,000円以上するサーモンを買うよりも、スーパーで200円で売ってるサーモンを選ぶでしょう。結局は自分を含め、問題が身近になければ身銭を切ってまで環境を守ろうなんて気になれない人が大半だと思っています。
けど、もしこの記事を読んで何か思うことがあった方は、ぜひパタゴニアプロビジョンの食品を選択肢に入れてみてください。まずは小さい一歩から、キャンプの時に1パックだけみんなでシェアして食べてみて、食品生産について考える機会を作ってみるとか良いかもですね。